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2015 08 05
渡邉紘子個展
shadows
光があって ものがあれば そこには必ず影ができると思っていました。
私は1度だけ影をなくしたことがあります。
日差しの強いある夏の日、私は夕飯の買出しに出かけていました。
なぜだかわからないけれど、心もとない気持ちで歩いていました。
全ての買い物が済んだ帰り道、道路に自分の影が映っていないことに気がつきました。
その瞬間、視界が狭くなり、立ちくらみがしましたが、なんとか家に戻り、そのまま何も食べずに眠りました。
そのあと、目覚めたら影は戻って来ていました。
あの心もとなさは、きっと影をなくしてしまったからだと思います。
ピーターパンは影をなくした時に泣いていたけれど、その気持ちが分かりました。
私も彼の様に影を縫い付けておいた方がいいなと思いましたが、影をつかむことは難しくて出来ませんでした。
でもあんな気持ちには一生なりたくないので
大切なものには、影のダミーを作っておくことにしました。
思い出とか夢とか、そういうふわふわした失いたくないもの対しても作ることにしました。
ちなみに自分の影のダミーは作っていません。ちょっと怖いので。
あの時、影はどこへ行っていたのでしょう。
たまには散歩したくなるのでしょうか。
それともただ見えなくなっていただけでしょうか。
それとも、私自身が、ここからいなくなっていたのかもしれません。
影は私を、いま、ここに、セロテープの様に貼り付けて、とどまらせてくれる役目のような気がします。
2015年8月27日(木)~9月2日(水)
12:00~20:00
nidi gallery
写真 : 山本彩乃
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